計画研究イ 干渉計のデータ処理とイベント選別・相関解析

註:この文書は平成14年度の応募申請書類から抜粋しています。ただし、研究組織については、移動になどによる変更を行っています。

研究組織

  氏名 所属 ・職 専門 役割分担
代表 神田 展行 大阪市立大学・理学研究科 数物系専攻・教授 重力波物理学 計画 ・ 相関解析、 解析ソフト開発

研究の概要と目的

本計画研究では、レーザー干渉計重力波検出紀のの観測運転で得られた データを用いて、重力波イベントを探索するのが目的である。 ここで用いるデータは同研究項目1の2つの干渉計、TAMA 300干渉計(国立 天文台,三鷹)とLISM 20m干渉計(東大宇宙線研,神岡)のものである。 またLIGOなどの海外グループとの同時観測がなされた場合、これも対象と考える。

本計画研究は、特に2台の干渉計を用いての相関解析を行なうことが重 要な特色である。これは国際的な競争の上でも数年内になされねばならない。 また、同時観測の性質上、重力波イベント選別の前におこなう計量相当へ のデータ換算などの前処理、運転情報などのマネジメント、veto解析と いったデータ解析一般の要素も含まれる。

レーザー干渉計重力波検出器は高感度であるが、しかし重力波イベント は雑音中から選別し、取り出さなくてはならない。期待できる重力波が 小さいため、trivialにイベントが認識できるほどではないと考えら れている。また直接観測は未だなされていないため、最初の重力波イベ ントはさまざまな傍証なしでは確信を得られない。 そこで我々は、2台の干渉計をつかって相関解析を行なう。2つの 検出器情報の相補的な情報により最終的にイベントが見付かった場合 は信頼度を得ることができる。また上限値に終った場合でも統計的に 逃れることのできない偽イベントの排除を、排他的な情報により1台の 時にくらべて改善することができる。

最初の重力波直接検出の対象として最も有力視されている2重中性子 星合体の重力波イベントは、重力波に以外に多くの情報が期待されず、 相関解析は重力波実験にとって生命線である。 このイベントに対する感度は、TAMA300, LISM20m干渉計ともに 我々の銀河系ないし最高でもアンドロメダ銀河程度以内までである。 したがって、我々の銀河内でのイベントの探索/上限値をもとめるのが まず第一の目的となるが、将来的に重力波検出器の国際ネットワーク へ進むための実績と競争力を備えるためにも、相関解析を2005年まで におこなう必要がある。

また、光学観測、ガンマ線バースト、超新星観測などとの相関ももちろん チェックされねばならず、重力波イベント候補のデータベースの構築も 視野にいれた、組織的な解析環境をめざす。

主たる重力波源は、アンドロメダ銀河までの範囲での2重中性子星合体、 II型超新星爆発などがまずあげられる。そのほかには、ダークマター 候補の一つであるMACHOの連星合体も、存在すれば十分に検出できる 重力波の大きさになる。

一方相関解析に進む前に、それぞれの検出器について、データの評価、 単独でのイベント探索といった、現在主にTAMAの研究において行なっ ている単独でのデータ処理が必要となる。 相関解析自体も、単純にイベント候補リストを比較する解析から、 それぞれの信号の積を用いるといった生データに近い解析まで いくとおりかを考えている。 重力波解析の手法自体も、対象となる線源種を増やし、手法を多様化 して、相補的な情報をえられるような研究展開が必要となる。

研究計画

処理するデータはTAMA干渉計の運転および、相関の相手となる。 まずは、2001年度のTAMAの1000時間分のデータと、同時に 観測された20m干渉計のデータの相関解析が対象となる。 次に、2002ないし2003年度におこなわれるであろう、TAMAと米国LIGO 検出器との同時観測データをもちいた相関解析を目標とする。

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