Kanda LAB for Experimental Gravitational Wave Physics
Top Page => 重力波の検出とその物理(研究者、科学者むけ)

ここでは物理や科学研究を生業とする人、あるいは大学で物理学や天文学を学んだ人向けに入門的な解説をします。専門用語も使います。 (一般の人むけの解説はこちら。
ただし、数式の導出や各種資料は、教科書や論文雑誌で読むことが可能ですので、ここは研究の流れと意義を記したいと思います。

重力波について

アインシュタインの一般相対性理論では、時空を計量テンソル(metric)で表します。 すなわち、歪みのないローレンツ時空であれば、その計量テンソルは、


のようになります。もし時空が歪んでいれば、このテンソルは対角成分以外が生じます。 ローレンツ時空でない一般の時空については、計量テンソルの記号はしばしば と示します。
アインシュタイン方程式はエネルギー・運動量テンソルが時空の構造すなわちを決めるというもの


ですが(リッチテンソルとかの意味は、長くなるので教科書を見てください)、この方程式は非線形であり、一般解を示すことは困難です。特定の条件下での解はいくつも知られており、たとえばブラックホールを示す解であればシュバルツシルト(Schwarzschild)解、カー(Kerr)解、富松-佐藤解などがあります。また膨張宇宙のような宇宙モデルも解になります。
さて、まともに解くのは困難(解ける条件が限られる)非線形方程式ですが、世の中には非線形な現象はたくさんあります。 身近なところでは楽器のようなものがあげられますが、音が割れる(=非線形効果)ほど大きな音をださなければ、概ね素直な応答(ほぼ線形)で演奏できる範囲が存在します。重力による時空の歪みも、比較的小さい場合はほぼ線形として解くことができます。すなわち物理の言葉では、”摂動”としての解です。
ローレンツ時空からのズレがあまり大きくない場合、ズレの分を摂動成分として、


としてについてのアインシュタイン方程式を摂動展開できます。最終的に得られるについての方程式は、


となります。これは波動方程式にほかなりません。従って、時空の歪み は光速度で波動として伝搬する、ということが予想されます。これが重力波です。
時空の「歪み」はどちら向きにどれだけ歪んでいるかということですから、 は当然テンソル量です。(一般相対論の時空計量に不慣れな人は、弾性体の応力テンソルを思い出してください。)TTゲージというゲージを選ぶと、z軸方向に進む重力波は


のようになります。 電磁気をしっかりと勉強した人は、どのようばゲージをとるかは任意性があることをご存知のはずです。4次元時空の歪みテンソルも、どのようなゲージを採るかで、テンソルのどの成分に歪みが現われるかが選択できます。たとえば、時間成分を歪んだと表すようなゲージも可能です。しかし、考えやすさと実験のことを合えると、時間は観測者の固有時間(つまり、手持ちの時計!)をつかうのが判りやすいでしょう。また重力波は横波としての性質があるので、上記のように進行方向(ここではz軸)には歪みがあらわれないことになります。(註:アインシュタイン理論での解はこうなりますが、ブランス=ディッケ理論だとスカラー波の解が存在します。)
このテンソル をじっと眺めると、以下のように2つの成分に分けることが見て取れます。。


これは、直交する重力波の2つの直線偏光を示しています。
電磁波の偏光のときと同じく、直線偏光に分解せずに、右円偏光、左円偏光に分解することもできます。

4重極ということ

さて、ふたたび電磁気学のことを思い出しましょう。最低次の電磁波放射である双極子放射は、電場、磁場のベクトル場が伝搬するものでした。すなわち、電場について3成分、磁場について3成分で表す量でした。(やはり横波なので、進行方向をz軸に採れば、それぞれ x, yの2成分しか値はもちません。)電磁多重極子の運動による放射の次のオーダーは、4重極による放射です。 いきなりテンソルで表したように、重力波は最低時が4重極の放射になります。
重力波も電磁波と同じく、質量密度分布(電磁気なら電荷密度分布)が球対称に変化しても、波は発生しません。そして4重極が最低次であるということは、重力波の場合は質量4重極子ということになります。
(この項以下書きかけ)

典型的な重力波源

重力波源と、それについての物理を大雑把に表にしてみました。


(クリックで拡大します)

検出する為に


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